その尺八譜は縦書きで、運指を表す記号(カタカナ記号)で書かれています。楽譜を渡されて『はい、吹いてみて』と言われてもすぐに演奏出来るようになるとはとうてい思えません。器楽演奏の世界では経験を積んだ者なら初見で演奏できるというのは普通のことです。がこの楽譜、学校で音楽教育(西洋音楽)を受けた者、楽器の演奏経験のある者にとってはなんだか分かりにくい形となっています。
よくよく見るとベースは西洋音楽で一般的に使われる五線譜やタブラチュア(弦楽器用奏法譜)のようなんですが、別の形で表現されているのです。つまり、従前から使われている運指の記号(カタカタ表記)をそのままに、五線譜の概念を持ち込んだ形になっています。
ただし、五線譜を極力意識させない配慮なのかテキストでの「説明」は五線譜で使われる言葉(単語)は出てくるのですが記号はほとんど出てきません(楽譜の中では出てくるのですが)。なので私は、日本語をローマ字で表現したようなもので、かえって分かり辛くしたものだと感じたのです。
(つづく)